お刺身にしてください

日付変更線にやってきた貴女を滅茶苦茶にしたい そんな欲望もきっと何処かに存在していたのかもしれません 綺麗事と世迷言に塗れた私は自分の気持ちに感嘆符を撃ち続けます いくら撃とうと届きもしない砲弾がアルコールで錆びていく 貴女が魚を嫌う様に私は…

ひよこの夢

私は今、ビルの三階に取り残されています 床にへばりつく私の前を時間だけが兵隊の足並みで過ぎ去り いつしかビルすらも足取り軽くどこかへ逝ってしまって 私だけが三階の空中にへばりつく様に 儚いカラーヒヨコの死に顔で眠ってしまうのでしょう ヒヨコです…

咲いた、裂いた

頭の中でまたキチガイ蝉がジイジイジイジイと鳴いています そうか、辿り着けない春が来たのかとニヤニヤ顔をマスクで隠し 視線の先は桜が満開で心中察した艶やかな遊女が私を冷たくあしらいます ここから去るのは何時にしようかと問いかけてくる蝉は 電車の…

さくらんぼの実る頃

桃の花が咲いてからもう一年以上になります あの花は萎んでどこか南の方へ飛んで行きました でも桃の花の残り香で眩暈がしてしょうがないのです 近くには蜜柑の花も咲いています 栗の花も満開になっています でもまだ近くに桃の花が咲いているような気がして…

春を拒む

春だと言うのか桃の花が咲きました 私は桃の花をずっと見つめていました 桃の花はいつしか受粉をして実を結びます それは私の雄蕊ではない どこか遠くの誰かの雄蕊 どこか近くの誰かの雄蕊 雌蕊を見ることも出来ずにただ花を見つめる私です 私は嫌われて生き…

カエルの為に鐘がなる?

あの娘とヘビが淫靡に絡み付いて脳内を離れません この娘の匂いも鼻孔に絡み付いて出ていく気配もないのです あの娘はヘビにピアスを3つあけました この娘は指輪を3つそっと外しました 斜めに走った平行線の真ん中を走る思惑は マンハッタンでもグランドキ…

犬の約束

僕は一匹の犬でした 温かい家で厳しく躾けられて温かい家なのにもう嫌になっていました すると小さいけど寒い家の人が僕を大事に育ててくれるというので 友達も主人も全部捨てて寒い家に行きました 寒い家では主人が僕に絵の描き方やバレエの振り付けを教え…

遅延を繰り返す

去年末より脳内に巣食った貴女は私を蝕み続け クリスマスまでに忘れられるかな?という問に 正月気分の答えを突っ返して来たのだ 私は誰とも繋がれないでいるのに 貴女は誰かと繋がるというのか? 明日には私が戦車になって車庫に入りに行く それまでは貴女…

脳勃起

冷めた紅茶の冷たさが脳味噌に染み渡ります 心は既に凍っているのに食べられる凍み豆腐です 踊り踊るアスパラガス 煮ては煮られるブロッコリー 潰し潰されメイクーン 脳から咲いたカリフラワー 私の食卓は日々咲き乱れ、咲き誇り、咲き狂う 彩りを添えるのに…

あ、空だ

帰り道は果てしない坂道だ 上りとも下りともつかない坂道だ なだらかに上っているのか? なだらかに下がっているのか? 私は今、どこにいるのかもわからない ふと空を見上げれば無限の中に無を見つけた 私はニヒルに笑いながら自転車のペダルを思いっきり踏…

死ノ頭〜死ノ尾

私は森の中にいた 森の中で貴方に貰った飲み残しのサイダーを飲んでいた 時間が来たので私はシノズ駅へ行った ハニカミウラ方面かシノビ方面の電車かわからずに シブヤ方面へ戻ることにした私はサイダーの缶を大事そうに抱えていた 私はシノビへ怖くて行かな…

MU

最近、よく夢を見る 夢は昼には忘れられ無になる 今は夢にあふれる私も きっと昼には無になるのだろう 夢を書き記す事は気狂いへの入り口だ きっと今頃、私の残してきたすべての物が 無の中で手招きをしているのだろう

虚仮孤恋

半透明の夜明けがうろ覚えの夢と共に みるみると形を成していく時間帯に 蕩けそうな目でいつの日の事かを思い出しています 半年も経つのに私の心は羽ばたきもせず ずっとあのビルの中で羽を休めています 夢の中で私が欲した貴女の缶バッチ 胸に携えたいと思…

二胡の音色

ピエロもかつお節も踊る夜 私は躍る貴女を見て心躍らせの鎮座だ 夢の中の貴女もどんどんと朧気になっていく いつセピア色になるのだろう いつ砂塵に成り果てるのだろう いつ壊れた玩具になるのだろう いつ私の心が壊れるのだろう どれが一番早いかは知ってい…

夢晴映画

夢を見ました 何一つの音が無くなってしまった水平線を 一本の電車が海水を掻き分けながら走っているのです 周りには何一つない綺麗な綺麗な夏の日の昼下がり まだ日も落ちきらない中途半端な時間に溜息が流れていました 私は気づくとその電車の中に一人座っ…

一人暮らし

寂しさを抱えた畸形児が 真っ黒なシーツに包まれ泣いている 私のどこにも貴女がいなくて 貴女のどこにも私がいない 駅に迫る電車には飛び込み乗車の選択肢 ぶらさがり健康器には首くくりの選択肢 錆びたナイフには皮膚を切り刻む選択肢 錠剤には致死量未満致…

私だ

総ての人間は 他人であり 異形であり 畏怖である されど私とて 他人であり 異形であり 何よりの畏怖である

ダム王

自分を引掻いた私が真っ黒になった いつの間にか私は真っ白になっている 時間が流れれば流れるほど自分を連れ去っていく 唇を噛み締める私の内臓は消え去った きっと私は猫にも豚にもなれずに 一度だけの一番を西那須野の果てに 私のダムはいつも決壊してい…

午後二十一時

真っ暗な私の枕元に オベリスクがひとつそそり立つ 私は眠い眼をギョロつかせながら 「この世界から逃げ出せますように」と ポツリと、ニヤリと、フフフと呟いた するとオベリスクから金色の赤ん坊が這い出し 私を連れて行こうと腕を掴み泣きだした 面倒事は…

逃げ場

金糸雀が鳴いている様な空を睨みつけて 舞い戻りの埼玉を舞い踊っています 脳味噌に夾竹桃が狂い咲きかけたので 言葉と一緒にサラダにしてポン酢でいただきました 全身に毒が回り暑さも相成り四肢が壊れかけ ただ緑色のシートに生えているのです 背中に当た…

さらだ

きょうはことばをえらんでねこをたたきわりました えらばれることばは「どんき」だったり「ばっと」だったり こわいことばばかりでしたがぼくにはわかりませんでした ねこががめんにひょうじされるとことばがあばれだします ねこがおびえたかおをしてみてい…

僕は嘘吐きです

扇風機の風が頬を撫ぜてそっぽを向く様な そんな一進一退の毎日が歩いている 今日こそは嘘をつかずに生きれたと 心のない心の歌をただただ聞いていた 私の横に友と憧れが座り、私はただ蹲る 飲み干す水すらも乾いていく夜 歌う歌すら干からびて響く夜 顔のな…

左右盲

捥げた腕を拾い上げる腕は左なのか右なのか 壊れた時計の針が回るのは左なのか右なのか 枯れてしまった脳味噌は左なのか右なのか 私が今見ている世界は左なのか右なのか 彎曲した時間を斜めに見れば直線を描き 落ちていく自分から視線を外すいい口実だ モニ…

リズム、リズム、リズム

興奮冷めやらぬ夜は何錠の精神安定剤も 性的不能者になるのだなと暗闇を見つめています チクタクとメトロノームよりも正確な時計が 一定のリズムで頭蓋を穿ち続けています 眠れずの朝はこうして軍靴の音でやってくる そう思った瞬間に目の前は真っ暗になり …

ペン先の陽

走るマジックのキィキィという音が 部屋中に散乱して腐っていきます 私の部屋にはマジックインキが滴り落ちて さながら海坊主の涙の様な青い色です 赤い色も混じっているのですが私には血は流れず 部屋に流れる近代的なロックンロールが 私の右手を左へ右へ…

初夏爛々

夏だというのに茜色の空も入道雲も見ていない 私の部屋にはまだ夏が訪れていないようなので 蚊取り線香を炊き無言の訴えをしている 夏は来ないのに平行線では飛行船が音もなく飛んでいて これははて、奇妙な風景だと眺めていれば 窓から手を振るのはやはり貴…

「行くも戻るもままならない、不器用で卑怯な毎日だ」 CDプレイヤーが不意に私の事を呟いている 脳味噌が歌に侵食される夜には狂気が足りないらしいので 音を探してチャンネルをくるくると回しているのに テレヴィジョンという物は欲しい情報すら与えてくれ…

自身撤去

全身に筋弛緩剤を注射された夜の様に 蕩けていく身体を空中に投げ出しています 私はここにずっといたのに 誰かが私はここにはいないと言う 思えばずっと私は何処かで虚ついている 阿呆の顔で涎を垂れ流しながら あうあうと白痴の声を出しながら それでいて背…

叩きつける残響

吐瀉物に塗れた部屋は迫り来る夏の陽気で 甘酢っぱい臭いが立ち込めて笑いの止まらない空気です 汚臭と汚物に塗れた汚男が笑いながら駄文を書き連ね それこそが私の残すべき物なのだと呟いております 残してきた人、残された人、残した人、残されるべき人 誰…

絡みつく鉄線

吐瀉物が水流に飲まれ渦を巻いて流されていく その中にはまた貴女はいないと安堵と危惧の渦を作る 吐き出せど吐き出せど心は吐き出せない 捨ててしまいたい想いを持ち続けるのは 貴女を脳味噌に縫い付けているからだ 私は下衆で女々しい黄金蜘蛛だ 糸に絡ま…