咲いた、裂いた

頭の中でまたキチガイ蝉がジイジイジイジイと鳴いています
そうか、辿り着けない春が来たのかとニヤニヤ顔をマスクで隠し
視線の先は桜が満開で心中察した艶やかな遊女が私を冷たくあしらいます
ここから去るのは何時にしようかと問いかけてくる蝉は
電車の音にかき消されながらも一言だけの希望を言った
その希望にしがみついてどうにか蝉だらけになる夏
兎にも角にも夏までにはアイスクリームを誰かと食べていたい
それはここではないどこかなのだなと、思い込む阿呆が
今日も飛び込めない中央線に揺られながら
秒速5センチメートルで揺れながら堕ちていく
桜の花びらは遊郭の中でなら映えると、僕は思っています