2007-11-01から1ヶ月間の記事一覧

脳内オリンピック

四万五千色のクレヨンを持ってしても 私の似顔絵はモノクロで描かれるのだろう 私の安っぽい笑顔はヤフーオークションに出しても たった二十円程度の値しかつかないのは眼に見えている 無駄な足掻きは辞め明日からは常に複雑な表情でいる 私の思う理想は貴方…

ワードパットを眺めながら

線路端の石を線路沿いに並べる作業を繰り返す日々だ 藁の中の針を探すような途方もない作業が繰り返されているのだ 「それでは違うのではないでしょうか?」 「それでは違うんですよ」 「それでは違うと思うんです」 何度も反復する言葉が翻り私目掛けて襲っ…

我輩は他人である

「猫は炬燵が好きなんですね?」 貴方が問いかけて来ましたが私はいません 貴方は空中に浮かんでいる私の面影と対話してるのです 私なんてものは当の昔に私でないものになり 最早私と呼べる代物ではなく赤の他人です 私がアイディンティティを持っていた事は…

タパスタパス

月が半分だけ笑っている 東の空に大きな紫色の雲を見た 逆さまになった地平線の様に透き通っていた 私は夜のドアをノックしなければいけないのに 鳥目の私は夜のドアが赤いのか青いのか結局わからず 自棄を起こしてここで一人体育座りをしている 摩天楼は空…

冬の装い

人の心を探ると自分が冷たくなっていく この真冬に見た陽炎はラグタイムなのだろうか 先日、右の靴下に穴が開いたのだが それすら嘘であったと思われていた事に憤慨している 嘘ではない、左の靴下だったのだ 無重力空間で上下左右の区別はつかないのに 貴方…

埼京線を止める日

銀輪が素っ頓狂なリズムで歌いだした これは勝利の凱旋歌であると確信したのだが 蓋を開けてみれば私は笑う者に笑われる者でしかなく 私の気持ちの悪い動きは気持ちが悪くないのだ 嘲笑、冷笑、失笑すべてが集まったのに私は 目先のボーダーラインを敬しく呆…

ジプシーダンス

意味もなく泣き叫びたくなった それは血で真っ赤なズボンのニュースを見ながら ネット回線を通じて楽しくお話していた時だ 本当に意味はない この感情がどこから来るのかわからない 泣き叫ぶ理由をこじつけるとしたら 理由が見つからないから以外の何者でも…

夜の色

夜は不思議だ ただの空腹感が鉈を構えて襲ってきただけなのに 真夏の夜の夢にしみじみと叫びたくなるのだ いつの日かに見たオリオン座は今でも 冬の皿に乗り大空満漢全席だというのに あれから私の冷蔵庫には腐りかけた鮭の切り身があるだけで 私の腹の虫は…

黒子

夕日で翳った街を散歩していると 私が散歩してるのではなく 私の魂が散歩しているのだと確信した あの娘の黒目が白くなったのが証拠だ 世界中の絵の具の黒は白になったのだ 私も捜査線上から外れたようで 安堵感に浸っているのだが 私はまだ留置所の中で私の…

タウンワーク

街の中に私の家があってそこに住んでいる事に恐怖感を覚えた 何ともわからない有象無象が形成しているのが街だ 私も有象無象なのだろうか 藁の中に落ちた針の様に街に紛れ貴方の命を狙っているのだろうか それとも将来は喫茶店の髭のマスターになるのだろう…

ロンギヌスの槍

道化師が不気味な含み笑いを浮かべている所を見ると どうやら世界の終わりは近いらしい 困窮の淵に立たされているのは私だけではない道化師も然り このどうしようでも出来ない四面楚歌の状況に 私はなぜかしたり顔で世界を眺め回しているのだが 今日の夕飯は…

影法師

布団の中で蹲っていると天井から巨大な黒い手が 私を包み込まんばかりに睨んでいた 手はニヤリと笑い部屋中の顔がニヤリと笑った 私は恐怖から電燈の紐に手を伸ばし電気代など気にせず 一心不乱に電気をつけたのだが黒い手は消えずに空中に まるで天井の近衛…

殺人犯の戯言

死のうにも死ぬ理由がないので探してみた所 台所の戸棚の中に小さな世界があり そこには私がいました 私の見ている世界は誰かが見た私の世界であって 私の見た私の世界は存在しないと思っていたのに こんな身近にあるとは微塵も思わなかったのに 見つけてし…

指切りをしましょう

死んだカマドウマの鳴声の聞こえる台所を思い出し 幾度となく繰り返される眠れぬ夜を 熟睡しながら心ここに在らずに旅をしています 思えば人生は汲み取り便所の匂いでした しかし言われてみれば磯の香りもしたかもしれません 私は性欲が旺盛なのでイカの匂い…

残り16日と3時間18分

残尿感に苛まれる真夏日を思い出して魘される この氷の世界に向かっている季節の中で なぜそんな暑苦しい事を思い出すのか 季節の変わり目の私は変わり者のキチガイだ きっと脳味噌に醤油を溢したのが原因だ 私の脳味噌はスクラップにしてもいいのでないか …

博士の愛した数式

救われたい私はスプーンを片手に踊っている 食卓にガスマスクの上る日に何をすればいいのか判らず 散財しながら童心に帰る事にするが土産は何がいいか? 土産も持たずに外に飛び出した私はとにかく自由が恋しかった しかし自由とは家の中に山ほどある事に伊…

へそで茶を沸かす

私は生きる事が大好きだ 生きているからには生きる事が 好きでないと生きていけないからだ だがもしここが死後の世界だとしたら 私は生きずに生きる事を謳歌しているという 茶番以外のなんでもないんだが茶番だろうが 午前中に飲む午後の紅茶は美味しいのだ

バカな壁

性的不能者と性的倒錯者が背中合わせで笑っている 右を向けば精神異常者と身体障害者が死んでいる 私はこれを夢だと思いたくてしょうがないのだ 夢は叶えてみれば悪夢に思えて夢だと思いたい事も 多々あると聞くが私の直面しているのは現実であり この壁は超…