左右盲

捥げた腕を拾い上げる腕は左なのか右なのか
壊れた時計の針が回るのは左なのか右なのか
枯れてしまった脳味噌は左なのか右なのか
私が今見ている世界は左なのか右なのか
彎曲した時間を斜めに見れば直線を描き
落ちていく自分から視線を外すいい口実だ
モニタの中には私がいるし貴方もいる
壊れても壊れてもモニタの中には常にだ
時々迷い込んでくる大きな揚羽蝶を見て
精神を壊してしまおうと何度も思った
壊れずの精神はただ蹲る
小さく小さく蹲る
壊れてしまえばどんなに楽だろうと
右か左かもわからない手に握ったマジックは
真っ直ぐの真っ白で美しい紙を曲がった線で汚すのだ