「行くも戻るもままならない、不器用で卑怯な毎日だ」
CDプレイヤーが不意に私の事を呟いている
脳味噌が歌に侵食される夜には狂気が足りないらしいので
音を探してチャンネルをくるくると回しているのに
テレヴィジョンという物は欲しい情報すら与えてくれず
今日が何曜日かということもおしえてくれず
夜の有刺鉄線は一本一本が絡まりながら私を縛る
この部屋から出たくなくなりました
ハサミで切り取られたくなりました
他愛もない事を呟きたくなりました
脳味噌を枯らせて笑いたくなりました
また押入れから髪の長い女が見ている
きっとまたあいつなのだと恐怖と至福が
カリフォルニアになっている私の部屋に吹き抜けていった
夜明けが来る前に抱きかかえて眠ってやろうと思う