2007-06-01から1ヶ月間の記事一覧

顔面神経痛

窓に映った苦悶の顔が私だというならば その窓の向こうで卑猥な顔をしているのは誰だ? 世界をデュアリズムで語るのには丁度いいが 私以外は誰もいないこの部屋に梟の眼差しを 放射線を描き発するのは私の妄想の産物である事を 正面から否定できず斜め35℃…

夜のセラピスト

突然に目が見える事に恐怖を覚えた 目は見なくてよい物を見てしまう 同時に耳が聞こえる事に恐怖を覚えた 耳は聞かなくてもよい物を聞いてしまう したり顔で蝙蝠が私を見ているのは 超音波が私の脳髄から飛んでいるからだ ソナーさえあれば私の落し物は見つ…

チーズケーキ

乳呑児だった頃から今日までを道形に 耽々かつ坦々と歩いてきたわけだが 自分の死が近づいている事に対する実感は 湧かないと言えば嘘になる ラジオのスピーカーからも ボトルガムの容器の中からも 三丁目のタバコ屋の角からも どこからでもマグマの様に湧き…

誇大図書館

黄昏時の埼玉県は海無し県ではなくなるのだが 私はほぼ同時刻に知恵遅れになってしまう 単細胞の脳はシナプスが繋がらず何時ぞやの 私の家で途切れた連絡網を思い回す電気信号を マングローブ畑でマンドリンの音色で発する 家族がハワイへ行くと言うので雨が…

コーヒーブレイク言語野

「どうしてですか?」 無機質にな質問に無機質に答える 「動くから殺した」 それ以外の何でもない 蒟蒻問答をする気もない 殺されたのは私だ

答えはYES!

自分は死んでしまっているのだろうと言う机上の空論は 狐の嫁入りと共に何処へ消えてしまったのだろう 先ほどまで見えていたはずの陽炎は逃げ水になった クーラーの陽気に逆上せながら見捨てられる想像を 活動写真のように鮮明に弁士までつけての 大迫力48イ…

枯渇したダムの話

ポリエステルの城が崩れようとしている 梅雨の空に紅い夕焼けの香りが ほんのりと漂ってくるのはいいのだが 燃えているのは空ではなくてるくはのるの 残していったアリストテレス主義の末端だ 逆立ちした空の上では蛙すら鳴けずに 即身仏となるのも時間の問…

錠の落ちる音で終わらせて

脳が逃げたがっているのか鍵を家捜ししている 私の鍵は一体なんだったかも覚えていない 覚えているのは君が死んだ日に スケトウダラを食べた事を思い出せない事くらいだ 何日も雨が続くと脳は干からびて照る照る坊主となり 四方八方に電話をかけトリプルブッ…

犯人は東海人

私の記憶を誰かが盗んでいるとしか思えない日々だ 鸚鵡の様に同じ言葉を繰り返すだけの 目覚まし時計に私の面影を垣間見た 電池さえ抜けば止ってしまう時計は 三国人の電気泥棒に壊されてしまうか はたまた知恵遅れの痴人に玩具にされるか 私は第三者で在り…

家猫主義者

猫が愛らしい瞳で私を眺めていた 私はまだ猫を愛おしいと思える心を 持っていた事に限りのない安堵を覚えた 私の肥溜めの心には誰も近づきたくない事を 淋しい事ではあるが知っている 現に猫の眼差しは軽蔑の眼差しであり それを愛おしいと感じた私はマゾヒ…

終わり

無表情な顔の現実が私の日々をベルトコンベアーに乗せる 私が夢を見たいのは今日に留まり現実を貪りたいからだ 時間が平行移動で流れていくのは狂気以外の何者でもない 淡々と流れる炭酸の抜けたレモンスカッシュの日々も 喉に響き酸っぱい事には間違いない…

女子トイレ

赤茶けた私の脳味噌は餓鬼の下痢糞のように 蛆が湧き蝿が集り異臭を放っているのだが それすらを愛でようとする自分のナルシシズム 自慰後のテイッシュと共にそれを捨てる生ゴミの日は 今日の朝だったわけだが呆けて忘れていたのだ 私はこのまま厠に閉じこも…

デスクワーク

机の上には何があるだろうか 赤く丸い林檎の様な肉塊が 初夏の風に吹かれ腐っている それは私の為れの果てとも言え 私の穴の塞がらない耳の様に 幾つもの声を鼻歌で誤魔化す様は 特に私特有の悪足掻きだ 机には烏賊のように十本の足がある 私の両足は亡き某…

密林の思想

指が木の枝のように伸びていき 両手はジャングルへと化した午後 四肢の木に癪の虫が大発生し 頭の中は自分だけの事で西の空が暗くなった 癇癪玉を耳の中で破裂させた様に 君の体を壊すのも悪くないかと思っている 脳髄の苛立ちは荊の冠を頭に巻きつけられ 失…

拷問の友

退屈と言う名の水滴がメトロノームの的確なリズムで頭蓋を穿つ 昨日は何をしたのだろうか、一昨日は何をしたのだろうか 今日した事すらもわからずに脳内証言台に立たなければいけない 「非生産的な生産的な事をした」と言い訳を考えてはいるが 所詮それは自…

弱視

目が覚めると同時に視線を探す どこからとなく飛んでくる視線が 自分自身の物であったと解った時に 私はどこにいるのですか?と空中に尋ねる 自分の尻尾はどこにあっても追いかけられるのに 自分の視線を追いかけられない私は 体を膨らませたり縮ませたりし…