自身撤去

全身に筋弛緩剤を注射された夜の様に
蕩けていく身体を空中に投げ出しています
私はここにずっといたのに
誰かが私はここにはいないと言う
思えばずっと私は何処かで虚ついている
阿呆の顔で涎を垂れ流しながら
あうあうと白痴の声を出しながら
それでいて背筋は真っ直ぐ伸ばして
我ながら何になりたいのかわからぬまま
この部屋ではない何処かで私は一人寂しくしている
なのにこの蕩けた身体は私を探しにいけず
空中に目線を右往左往させる事しかできなかった
明日も明後日も明々後日もここに私はいないだろう