錠の落ちる音で終わらせて

脳が逃げたがっているのか鍵を家捜ししている
私の鍵は一体なんだったかも覚えていない
覚えているのは君が死んだ日に
スケトウダラを食べた事を思い出せない事くらいだ
何日も雨が続くと脳は干からびて照る照る坊主となり
四方八方に電話をかけトリプルブッキングなぞを噛まし
右往左往しながら総ての用事をキャンセルしてしまう
そんな脳に私は出て行ってもらいたいのだが
鍵を思い出さなければ鍵を渡す事すらできず
鍵穴にやたらめったら物を突っ込んでみるものの
チューイングガムなぞを突っ込んでしまったので
鍵穴にはもう鍵は入れられず私の脳は
私と存在するしかなくなってしまったのだ
脳は気化するので毎日少しづつ部屋の隙間から
出て行っているようなのだが実感が有り余っている