影法師

布団の中で蹲っていると天井から巨大な黒い手が
私を包み込まんばかりに睨んでいた
手はニヤリと笑い部屋中の顔がニヤリと笑った
私は恐怖から電燈の紐に手を伸ばし電気代など気にせず
一心不乱に電気をつけたのだが黒い手は消えずに空中に
まるで天井の近衛兵の様に天井を覆い隠していた
思わず目を背け視線の先にあった鏡を見ると
鬼の様な形相の私が死んだ魚の目で泳いでいた
明日はきっと来ないのだろう
ずっと今日は今日なのだろう
そんな薄ら笑いの予感がした