指切りをしましょう

死んだカマドウマの鳴声の聞こえる台所を思い出し
幾度となく繰り返される眠れぬ夜を
熟睡しながら心ここに在らずに旅をしています
思えば人生は汲み取り便所の匂いでした
しかし言われてみれば磯の香りもしたかもしれません
私は性欲が旺盛なのでイカの匂いや栗の花の匂い
そしてハンバーグを焼いているような匂いもします
そんな幾重にも重なった香りの中を這いずり回り
パフューマーを気取っていたお上りさんでした
麦茶の中に入っている麦はどうしても芽が出ず
根っこが腐り、まるで私自身を見ているかのようです
窓の外には北斗七星が凛として輝いているはずですが
貴方の目が私と同じ色眼鏡をかけているとしたら
私と同じ色弱の世界が見え色キチガイになってしまいます
そうならない為にもまずは貴方の母親を殺してください
私も貴方の作った轍を必ず追います
たとえ世界が消えたテレヴィジョンの画面になってもです