女神のキッス

祖父の形見の羅針盤をそっと汚れた手で撫でる朝
いつの間にか私の右手は自慰専用機と化し
通常の三倍の速度で逝ってしまうとは情けない
私の胸の中には未来はまったくない
代わりに蛆虫の様なご飯粒が張り付いていて
セクシーな胸元を強調するたびにお腹が空くのだ
全力疾走の朝方はいつまでも続き
太陽は過呼吸発作を起こしてのた打ち回るのだ
甘いコロンと火薬の匂いが漂ってくるのは
近くにギンギラと目を光らせたタスマニアデビルがいるのだ
時間が迫る中でもタイピングの指は止まらない
私は生きる為に必死なのではない、死に逝く為に必死なのだ