僕は害虫です

夜の伝書鳩が耳元で囀りを繰り返す
貴女の声も貴女の声も貴男の声まで聞こえる
運ばれてきた言葉は脳味噌を割拠し
眼球から雑巾の様に絞り出されていくのだ
言葉は言葉を産み
言葉は言葉を殺し
私も何時かは言葉だけの存在になる
私の言葉は「胡蝶蘭」だけなのに
鳩は総ての花を啄もうとする
砂に成っていく私は誰にも見られたくないのだ