樽の中の老婆

新宿で息をするのがこんなに辛く感じる朝
慰めに降った雨が心身を冷やしきる朝
独りになればいい独りになればいい
私の眼鏡は今の幸せを見るには度が低すぎる
走り去る幸せの黄色い電車に飛び込めば
泣いている貴方の姿が見えてしまう
蹲ったコンクリートと同化し石になった私は
食べられもしない500円玉を握り締めるのだった
あぁ、今日もきっと電波が足りないのだろう