眼球の様な月

私には眼球は必要ない
物事を正しく見れていないのだ
私にだけカラフルに見える時も
私にだけモノクロに見える時も
私にだけ何一つ見えない時も
心を見れる眼鏡があればと眼科医に駆け込めば
「貴方は弱視ですよ」とにこやかに言われ
気付けば点字ブロックは崖の下へ繋がっている
「私は障害者なのだ、差別してくれ」
薄ら明かりの部屋に月がそっと覗いていた