振り返るな

脳味噌に集る蝿が金切り声で飛び回る夜
一人だけの雑踏が聞こえ薄目で闇を見つめている
私に右肩には韓国人が正座しているのだが
昔は左肩には丸刈りの小坊主がいたのだ
チョビ髭を生やしたスカトロAV男優がいたのだ
心からの笑顔で拍手した今日の宵は
がま口を広げて一円も入っていない現実の日
薄らと頭に浮かんでいるのは鬼の刺青を入れた男
風呂上りに立ち尽くし黄色いジャージの前で
仁王立ちの背中を魅していた愛すべき馬鹿たちだ
蕎麦になろうとも饂飩になろうとも
私は馬鹿であった日に感嘆の声しか出せずに
ただひたすらと未来を見つめて蝿取り紙に
絡み付いて離れない午前3時を過ごすのであった