社会の縮図

楽しくて楽しくて怖くて怖くて堪らない夢を見た
貧困に満ち溢れた中国の町並みを歩いている夢を見た
在学中と悪戯書きされた看板の向こうに大きな精神病院があり
私の足は自然とその中へ歩んでいったのだった
棟と棟の間を歩いていれば向こうから無数の奇形人が歩いてくる
土面症、手梯子症、後面症、窓の中には原型の解らない手すらある
奥へ奥へと歩いていくが私は怖くなり踵を返してしまった
あの看板の向こうにあったのはいったい何だったのか解らずに
部屋で同僚に自慰を見てくれと強要してしまう私の弱さ
気付けばベッドを同僚が取り囲み私の自慰を見つめている
最高潮の快楽で初秋の花火の様な射精をして起き上がると
右前方にあった女郎蜘蛛の巣を頭で破ってしまったのだ
首筋にぺたりと張り付いた女郎蜘蛛の死体の軟らかさを感じ
私の中にもう私を捕える物は何一つとしてないのだと確信した
自由になった私はいつ奇形人になってしまうのかわからない
ただ、あの中に一人としてキチガイがいなかったのが唯一の救いだ