長いお別れ

もうすぐお別れなのだと猫の虱を潰していた夜に
私の眼は潰れ腐りいつの間にか乞食になっていた
ギタギタに切り刻まれていたフィルムは繋げれるのに
私のバラバラになったアイデンティティは河童の川流れで
何所に行っても禿散らかしている徳利セーターなのだ
いつになればこのホワイトボードは消せるのかと
油性ペンで書かれた孤独の二文字を塗りつぶしている
あぁ、そういえばもう秋なのだなと銀杏の木を見つめ
麻縄で太い首をマグロの一本釣り宛ら吊ったのだ
明日はきっと三塁打だと胸を躍らせているが
私には誰の悪口も言えない聞こえない
だから誰も私の悪口を言わないでぐっすりと寝ていて欲しい