花散らしの雨

酒臭い息をパンパンに詰めた電車は
午前0時の帳を突き破っていった
刹那に私の携帯電話は鳴り響き
期待しないでよかったと嘘を吐いた
電車の中で私は顔のない顔をして
リュックサックの隙間に見える
眼鏡面のサラリーマンの顔を見て
あいつはこうなるのかと思うと
怒りにも似た滞りを煮詰めたのだ
思えば私の背中は裂けているし
そこから漏れる臭気は貴方を不快にさせ
私の精神は貴方にはじゃじゃ馬過ぎたと
自分自身を否定しながら雨の新宿を
2錠の精神安定剤目当てで走ったのだ
私はサラリーマンになれないのを知っている
貴方が真面目に生きれるのを知っている
空調の音に自分の意識がフラッと混ざった時
それでいいのだと酔っ払いが呟いたのだった