地下鉄副都心線

三万光年の向こうには何万光年が待っているのか
それだけを確かめてくて私は言葉を繰り返す
ただここに立っているだけでも言葉はやってくるのに
それから逃げるように山手線のホームを行ったり来たり
スピードを置き去りにした列車が私を見ている
檻の中のライオンを思い出しているのは私だけではない
リュウグウノツカイの瞳をいつの日か見たのだが
それに比べれば私の瞳は罅割れて濁っている
それだけなら救い様は三十個はあったはずなのだが
セントルイスに生きている私はここに生きている
それだけで世の中を汚くする害悪なのだと
黄色い線の外側の線路を見つめながら思ったのだが
私には飛び込む勇気もなく日々はマシュマロに溶けてくのだ