チクタクチクタク

時間が壊れた様で脳裏に浮かぶのは腐乱した幼児だ
誰かが頭の中に種を敷き詰めた様で右目に芽が生え
激痛と共に日付が変わるのをじっと待っているのだが
時計は鳴かない鶯の様に惨殺されてしまったので
今、頼りになるのは私の体内時計だけである
チクタクという秒針のリズムは私を狂わせるのだ
枕に飼い猫が溶けて行ったのだがそれが幻覚か否か
自問自答を繰り返す罅割れた日は苦痛でしかなく
今日は私達の一周忌だったなと感慨深くなったのだが
既に私の右目の木は樹齢が百年を超えているのだ
明日は徹夜で軍手を食べながらベルトコンベアーに
嘘と少量の魅惑を載せて回らなければいけないというのにだ
終止符はいつでも打てると言う事は胸に命じておかなければ
私は今日にでも私ではない誰かになってしまう