2007-08-06 夏と花火と私の死体 あれは夏で五歳を醸し出していた頃の事だ ジスキネジアからくる高熱で病床に伏していた 熱を出せば誰もが幻覚を見ると思うのだが 私の場合は神風特攻隊の幻覚を見ていた 爆弾行進曲がバックグラウンドで流れ 銃弾の飛び交う中を特攻機桜花で颯爽と滑空し 我こそ真の国賊であると叫びながら 冷蔵庫に向かい飛んでいった 高熱にはやはり冷たい物が一番だというのを 幼心なりに知っていたのだろう チューペットを食べながら惰眠を貪れば 腹を下すという所までは頭が回らず 私は冷蔵庫に安置された冷たい死体になった