夏と花火と私の死体

あれは夏で五歳を醸し出していた頃の事だ
ジスキネジアからくる高熱で病床に伏していた
熱を出せば誰もが幻覚を見ると思うのだが
私の場合は神風特攻隊の幻覚を見ていた
爆弾行進曲がバックグラウンドで流れ
銃弾の飛び交う中を特攻機桜花で颯爽と滑空し
我こそ真の国賊であると叫びながら
冷蔵庫に向かい飛んでいった
高熱にはやはり冷たい物が一番だというのを
幼心なりに知っていたのだろう
チューペットを食べながら惰眠を貪れば
腹を下すという所までは頭が回らず
私は冷蔵庫に安置された冷たい死体になった