カゼニナル

窓を開けると風が入ってくる
口数の減らない風は夢中に何かを伝えようとするのだが
私は風の言葉などわからないので煙草に火をつけるのだが
風は煙草の煙を引っ掻き回しアラビア語の経文を唱える様に
呆れ果てるほどに理解できない自己主張をするのだ
その態は私を映した鏡のようであり今が夜でなければ
私はここで恥も外聞を捨て煙草を消すのだろう
理解できない事は地獄だが理解できる事も地獄なのだ