ロケットの手

この糞を垂れた子供のような青空。
私は子供の頃、空は高くあり手の届かないものだと思っていた。
どんな高い所に行こうと空は続いていた。
東京タワーの展望台の中でも飛行機の窓の中でも
空は上へ上へと続いていた。
私はそれを希望だと思っていた。
今日は晴天だ。
空は高くあるのかと思っていた。
だが、欠伸混じりに背伸びをすれば手が空を突き抜けていた。
いつの間にか空は私の近くにあったのだ。
それは私を欺いていたのか。
それとも空は元から低かったのか。
戯言のように空を突き抜けた手は冷たかった。