雑音フェティッシュ

脳髄に踏み切りのカンカン音が響き渡り
ビルの谷間の一休みも出来ないのかと辟易とします
カラスがカァカァと空中で旋回を繰り返し
隣の部屋の押さえられないFコードが響き
ピーポーピーポーと救急車がお迎えにあがった時
私は貴女の帽子をそっと被りました
音が聞こえない世界へ早く行ければいいのになと
貴女の微笑む顔がノイズに塗れて
あぁ、世界はこんなにも綺麗なんだなとほくそ笑むのでした