茄子と挽肉の味噌炒め

密室での朝食は琴線の張られた家族ごっこでした
私から見れば貴女は私の良妻です
貴女から見れば私はツノグロモンシデムシです
この擬似化されて矛盾に溢れた現実から目を背け
スリードの先には幸せの刷り込み現状が始まってしまい
私のヒヨコは親鳥をお茶碗だと思ってしまっています
「茶碗さえあればご飯は食べていけるのだ
 私にはお箸を扱う腕さえないのだ
 だが、私にはまだ飛べない羽がある
 貴女を乗せて飛ぶ事だって苦ではないのだ」
そう思う視線の先には真っ黒なストッキングが輝き
あぁ、私にはごっこ以上の家族は無理なのだなと
白い飯に箸を突き立ててニヤニヤと微笑むのでした