ニコチングリップ

私の後ろに立っているのはカメラを構えた篠山紀信
私の心を丸裸にしようと三歳児の眼差しで見つめている
思えば醤油を垂らしたアイスクリームは私の母親だ
甘塩っぱいだけで喉の渇く潤いなどない私の母親だ
私は熱くそそり立ったニューナンブをコーンに突き刺した
母の顔を思い浮かべながらバニラ味の射精をしたのだ
私の様な脳軟化世代が呟くのもなんだがキチガイでしかない
ならば薬だとスミノフアイスを掻喰らう午前三時に
いつの日かに過ぎ去った吉田拓郎の歌を口ずさむ
だが心の底ではフォークソングの歌う青春を小馬鹿にし
原子力の自家発電を重ねる私はただの大馬鹿でしかない
思えば総ての歌は口ずさむ事を許されている自由なのだ