麻婆豆腐の空

自分が歩くより早く雲は流れて行くのに
私といえば鶏の屍骸を貪っている
本当の私はあの空の向こうにあると信じて
猛禽の爪で自慰ばかりしている味噌滓の人生に
街行く人々を妬んでは殺しても良いと
ご都合主義のミスリードを繰り返し
行き着く果ては精神病院の真っ白な壁だ
見つめているだけで命を奪えるなら貴方を殺したい
だがコンビニ店員は私の視線を受け流し
爽やかに微笑む曇天模様の巨人だったのだ
自分を悔やむ私に慰めの様な小雨が降り注ぎ
頬を伝う涙色ノンフィクションを見つめる私を尻目に
洗濯物は風を受けくるくると回って逝くのだった