私は海鼠になりました

高円寺に会ったのは懐かしさにも似た一握の杞憂でした
私はここで再び始まるのだと熱り立っていたのは
若さと老いの間に浮かんだビニール袋でした
だから私こそ糞野朗であるのだと一握の自己嫌悪です
高円寺の町は私が中学生の時から何も変わらず
何者にも代わらず私を包み込んで咆哮を響かせます
帰り道をついてきた海鳥は羽ばたきながら海猫になります
あぁ、私は救世主にも優勝者にもなれないのだと
ドラムセットを叩きながら眠たくなって逝くのでした