忘れ去られた傘

午前三時の新宿はこれでもかと臆病風を吹かせ
耐え切れない私は煮え切らない部屋で無駄な時間を
ワウギターの音色にあわせて過ごしたのだった
山手線はいつもの人間を丸裸にした物が乗っていて
埼京線に乗り換えてもそれは相も変わらず
赤羽で奇跡は乗り込んでこなかったのだった
そして偶然も私の味方をしてくれないという悲惨な
始発電車で私は意味もなく泣き出しそうになったのだ
その時、偶然聞こえた風の音は私を嘲る笑い声だった
私は臓物をぶち撒けたい気持ちを堪えるのに必死だった
だが駅を出れば高揚とした気分でいたのはなぜだろう?
女心と秋の空、そして私の心と自慰ティッシュという事か?