始発電車

電車の扉が開くと共に音楽は消え去りました
そして扉の閉まる音が消え去ると共に
全ての音が消え去り無音の深夜4時が生まれました
私は産声を上げたかったのですが粋ではないと思い
目の前にある三角州をただひたすら眺めていたのです
貴女が消え去ると共に電車が消え去って
私が一人だけでこの線路の上を走っていました
消えるのは私だけでいいのに全てが消え去っていって
私だけが何も無い真っ白い平面の上をただ滑っているのは
滑稽ながら11月の冷たい風は気持ちがいいなと
私もさよならを貴女に言いたいのですがもうさよならです
さようなら