三人いる

影が私を追い抜いて歩いていってしまった
カンカンカンカン…と無常にも踏み切りは鳴り続け
気づけば私は若槻千夏になっていたのだが
その私は既に影のない私であったので
私は私ではなく若槻千夏若槻千夏ではいのだった
ただ、二人の人間がそこに存在していただけで
影は後ろへ後ろへと伸びながら私たちを轢逃げするのだ