視線を眺める男

眼球の中で膝を抱えて蹲っているのは私だ
目に見える眼球の中の世界しか知らない私だ
いくら視野を広げた所で眼球の中から出る事は出来ない
釈迦の掌より有限な無限の世界を一人悲観しているのは
センチメンタルな情景に酔いたいと思っているからだろうか
それともこの世界の果てに何かがあると薄々感づいているのだろうか
見えないものは盲目に信じる事しか出来ないのだ