早朝の笛吹き

鏡の中からキィキィと軋む音がする
耳を塞ごうとすれば尚大きな音で軋むのだ
窓に目をやればカーテンの隙間から
目の異様に大きな褐色の子供が私を見て笑っている
目を背けようとすれば私の視界に無理に入ってくるのだ
布団を被れば猫がニャアニャアと鳴き始め
私を現実の世界に留めようと必死なので
私もニャアニャアと鳴いてみた所これが意外と楽しく
キィキィと軋む音に合わせリズミカルに
猫とニャアニャアと歌ったのだ
褐色の子供はこちらを見ていたが目が合うと
恥ずかしそうにカーテンの後ろに消えていった
私に残されたのは聴覚だけだ
明日にはそれすら残っているのか怪しい物だ