秋眠、暁を覚えず

パチンと指を鳴らせば天井から巨大な足が下りて来て
私をゴキブリの様に踏み潰すのだろう
私が足を伸ばせば猫の背中を蹴ってしまったので
これは猫の恩返しという精神的なパラドックスなのだろう
猫の背中は広く無限である故に私は孤独なのだろう
猫と私しかいない孤独な空間は
猫は猫で存在していて私は私で存在しているので
幾分かの集団存在意識を持っておっとりとした方が
精神衛生上に猛毒という名の薬になり
毒を食らわば皿までと有田焼の皿を食べる毎日に向けて
恍惚とした表情でこの眠りを続けるのべきなのだ