猫と油蝉

9月になったというのに頭の中では油蝉の喧しい鳴き声が
能面の様な薄ら笑いを浮かべながらペッタリと張り付き
狂気のあまりに小躍りしてしまう様な眠れない夜を
貪り喰らう様に私はここに存在しています
猫の散歩はどこまで行っても三日月の中からは出れず
結局は私の部屋に戻ってきてしまう帰巣本能で
毛むくじゃらの獣は怪訝そうな顔で私を見ていたかと思うと
宙に浮かぶ何かを眼で追いながらか細い声でにゃあと
一言発したかと思えばその弾みで私の頭の中の油蝉が
ジージージージーと一斉に鳴き始め脳裏に浮かぶのは
自殺の一言でしかなく頭痛薬も精神安定剤
私にとっては下痢を呼ぶ物でしかなく新薬開発を急ぐのです
また猫が鳴き油蝉が鳴いています
程よい湯加減の風呂には私は一生入れないまま汚れた体で
悶々とした日々に嫌気を差しながら自殺までは生きるのでしょう