大都会浮浪者

からしてみれば貴方を知らない事は破滅である
貴方を知ろうとすればするほど貴方は遠くに
蜃気楼の様にゆらゆらと揺れ私を惑わせていた
摩天楼は忘れ去られた子供心を思い出させてくれる
気が触れる町並みに視線を傾ける人などいないのは
いけ好かない人権保護団体の過保護の過剰包装だ
ビルがもしケーキ屋さんならば明日のモーニングは
メープルシロップをたっぷりかけたベーコンエッグ
それも三人前と景気よくインフレーションを与え
ビルの谷間に甘ったるい匂いを糞尿の如く撒き散らし
貴方の事は甘過ぎてわからなくなるのだ
遠くにあればあるほど近いのに近くにあればあるほど
貴方の目鼻が揃う事のないスロットマシーンの日々を
どこか近い遠くで見窄らしい乞食の態で見つめている
貴方も私も乞食だったという事実は遠い昔に
気づいていたのだけども口に出さずにいたために
乞食は往々にしてすべての人だと知ったのだ
社会はいつも私に捻じ曲げた魚の骨しかくれない