長い散歩

自由に捉われすぎて不自由になっている
今日は猫の魂が部屋をぬちゃりぬちゃりと徘徊し
いつの日にか私か猫か、どちらかが裏切りを行うのだろうと
悲しい気分になった為、街へ散歩に出た
緑の街はドブの臭いだ
口数の減らない春の風が私を軽蔑するように一瞥し
空の彼方へとラララと吹いていった
風から眼を逸らせば老人が鞄を大事そうに抱えていた
私は老人になるのだろうか鞄になるのだろうか
どこかの家から漂ってくるカレーの臭いに眼を眩ませながら
愚身自身は杓子定規の杓子眼鏡である事を胸に刻もうと
iPodから流れてくる中島みゆきの曲を聞きながら
心に座り込み家には帰れそうにはない
猫の魂だけが部屋で孤独にシェスタに溺れていた