複眼

無数の眼が私を見ていた
何処へ逃げようと私を見ていた
これは幻覚なのだろうか
無数の黒い蝶が生まれた
それは頭の中を蔽いつくし
無数の眼を隠してくれた
しかし私の眼も隠してくれたので
私は盲目になり
今も物乞いをして暮らしている
歪みの声だけが雑踏と共に響き
消え去りたいと願いながら
卑怯者の嘘吐きの生き方で
生き様と思った
同時に逝きようと思った
昨晩の出来事である