初老の紳士

何時もの如く生きていると
初老の紳士に話しかけられた
「貴方は死んでいるのと同然です」
それは稲妻のような衝撃だった
しかし翌々考えてみれば
私の心臓はムソルグスキーの音楽のように
単調に動くだけであったので
それは最早、回路でしかなく
回路は生きているかと言えば
所詮は機械でしかない
初老の老人の心臓はきっと回路ではなく
もっと神々しい物で出来ているのだろう
もしかしたら初老の紳士は神なのかも知れない