鞦韆に乗りながら
前略母、父へ
齷齪と働く両親を見ながら私は幼心を震わせました
私が若年者の5歳の時でありました
あの時はまだ空も青く在り、空気も透明でした
だから私は理解出来なかったのかなぁと思います
私は若年者の20歳になりました
空は鈍色で空気は水の上の油の色になりました
そして両親の気持ちだけが宙ぶらりんになっている現状を
やっと理解する事が出来ました
私はその宙ぶらりんの気持ちでいつまでもキィキィと
鞦韆遊びなどをしていないで空中鞦韆の様に
くるくると回りながら飛べればいいと思います
そして私もいつかは宙ぶらりんの鞦韆を作り
我が子に同じ思いを味あわせてやりたいと思います
敬具