蝉時雨

とてもつもなく夏だ
蝉時雨が真夜中まで続くのは
都会に膏蝉の吸う涙がないからだ
それに比べ人間様は甘露を舐め続け
涙の木を伐採する
そうしてまた甘露を舐める
それが己の首を絞めていることに
気付かないままで甘露が果てて死ねばいい
人間など7日の命の価値も無い
蝉には70年鳴き続ける価値がある
蝉時雨よ、途絶える事無く続け
春夏秋冬と鳴き続け冬虫夏草に脅えてくれ