夜釣りの帰り道

夜蝉無く玲瓏の響く夜
ひたすらに続く一本道を
労働者の足で労働もせずに走るのだ
空では不気味な笑みを浮かべた月が
そっとビルの隙間から私を見ていた
ずっとこの日が続けばいいと
水面に走る橋に寝転がり
草木の戦ぎをぢっと見ていた
気づけば体は水面に浮かび
いつの間にか島の下に沈む
私は大地震よ怒れと島を殴ろうとした
だが体は無情にもずぶずぶと沈んで逝くのでした