炊飯ジャー

いつの間にか総ての人が私の前を歩いていた
私の後ろには大海原が広がっていて誰もいない
それを悲しそうに眺めていれば皆、私を置いて行く
私は尖筆を体の上を走らせる自慰に忙しいのだ
それは33回転レコードの様にくるくると廻り
忌まわしいと思われるかもしれないが私は勃起した
すると何処からともなく桃の妖精が私を睨み
あぁ、これが曖昧模糊の真骨頂と恍惚の笑みを
午前三時の大空にぶっ放して放屁すらするのだ
その欲張りな私こそ自堕落を絵に描いたような猿であり
達磨の転がっている墓場を自分の寝床にしている
欠伸交じりに空を眺めれば大雪の前兆を垣間見る
それは私の尿意と同期したセンセーションであった
私は気付くのが遅すぎたのだ
いつの間にか総て人が地平線の向こうに消えた頃に
悲しそうな瞳でレモングラスを眺めている
そして時が止まった時、アルキメデスは歩き出すのだ