ねじ巻き

時計は如何にして正確に狂うかを考えている
狂人は如何にして正確に狂うかを考えれない




時計が十二時を指した
私は黒い夜が白い朝へと
変わる事へ恐怖を感じる
逆もまた然りだ
世界の色が変わる時には
自分自身が変わってしまうのではと
自分自身のアイデンティティが狂うのではと
アイデンティティだけが私を繋ぐ鎖だ
断ち切れれば今以上にデカダンスに狂うだろう




自分の色は周囲が容易く変えていく
じわりじわりと変えていく
日進月歩変えていく
それは恐怖以外の何者でもない
今、此処に在る自分は明日は他人になるという事




誰にもなりたくない
あいつになりたくない
私になりたくない