都会の深淵

深淵にへばりつく蜥蜴の眼差しは
夜の月の遥か彼方を眺めている
都会の真ん中の深淵
其処は何処にも無い
只、暗がりに薄明かりが薄ら笑いを
テーブルの上には燭台を
其れも只の薄ら笑いの光
蜥蜴の見つめたい物は鳥目でしか
見れない様な暗がりの中
遥か彼方の星空に在る物は
コップ一杯の苦いコーヒー