生まれ変わり

うたた寝をしていたらニクイロババヤスデになる夢を見た
樹を上へ上へと這って登って行く夢
私の前世の記憶か
それとも来世の前兆か
共産党の喧しい街宣車の声で目を覚ますまで私は確かにヤスデだった
もし生まれ変わったらヤスデに生るのもよい
だが私は何度も言うように生まれ変わるなら食パンに生りたい
なぜ食パンか
それは耳があるからだ
トースターで荼毘に臥され体が焼ける音
カリカリに為ってしまった私をパリパリと食べる音
それを聞きたいのだ
口は無いが私は苦痛に悶えるだろう
だがそれくらいしないと私の今生の罪は消えないだろう
望みは次の次の転生だ
だが食パンを繰り返すのも、私のマゾヒズムに快楽を齎すだろう
だが苦痛を繰り返すのも苦だ
次の次は電子レンジに生まれ変わりたい